哀愁のミニ四駆本ワールド

最近はブックオフに行くたび、児童書なりゲーム攻略本の棚を覗くようにしている。そこには、ミニ四駆本があるからだ。
流行に乗って大量に、ブーム絶頂時にはミニ四駆一車種に対して一冊発刊されてしまうようなペースで発売されたミニ四駆本も、今ではほとんどが100円で販売されている。それらを店頭にて見定めて、内容次第では購入している。
インターネット上でセッティングや高度な工作技術に関する情報が流れているとはいえども、ミニ四駆本には十分な価値がある。
記事であるからして見せることに特化した製作となっていることや、さまざまなレース形態に対して、あやしげなセッティング理論をノリノリで実行している本気度が、たまらなく制作意欲を高めてくれるのだ。
そんなミニ四駆本は決して珍しくないといえど、どこの店でもあるとは限らないのがミソ。児童書コーナーにてそれっぽい背表紙を見つけ、いざ手にとろうと思ってみたら、ベイブレード本だったことは、一度や二度ではない。
今日は初めてのブックオフにて、ちと欲しいなと思っていたものの出会うことがなかった、『ザウルスのミニ四駆スーパーテクニック (2) (ワンダーライフスペシャル)』が目についたもので、早速買ってきた。
この本は改造作例グラビアと徳田ザウルスによるミニ四駆製作に関する漫画で構成されているのだが、他の本とはちぃ〜とちがった趣きを備えた項目があるのだ。
それは、オリジナルボディの製作。
現在のタミヤ公認競技会規則では自作ボディ、また車としての実感にかけるボディは認められませんとの記述があるのだけども、当時はパイプフレームと真空成型じゃなきゃいいという、かなり線引きが難しそうなルールを用いていた。
曲解すれば何でもやり放題な気もするが、その辺は良識で勝負、といったところか。
紹介している製作法というのは、まずはパイプフレームを作って、プラ板を貼り付けてモデリングという手順。ペットボトルの流用で曲線も出せると紹介している辺り、単なるタミヤ製品の販促でなく、工作の工夫する楽しみを啓蒙しているようで嬉しい配慮だ。
だが小学生のころってのは、今からじゃ想像できないムチャクチャをやるものだ。
この記事のせいでプラ板をベタベタ貼りまくって「オリジナルマシン」が量産されまくったかと考えると、なんとも罪作りすぎる記事だ。
ムチャクチャだけど情熱が詰まったマシンをレースに出そうとする子どもに対して、「車としての実感にかける」と伝えたものかと困り果てる車検担当員を想像するに、哀愁すらも感じてきた。
そんな裏読みが出来るからこそ、ミニ四駆本は何重にもおいしい。