ああ、オレ、デビルマン観ちゃったよー

5日ほど前にデビルマンを観に行って以来、書いていない。
世の中全ての創作に対して、悪影響を与える作品なのだろうか。
さらっと感想を述べるつもりだったんだが、こってり述べなければならない内容のつまり具合にまいってしまい、書き出せなくなってしまったのであった。

ホント、すごかった。

「原作モノだから悪評も多くなるわな」くらいに構えて観に行ったのだが、そういう問題ではなかった。悪評の数々は、すべてその通りであった。
ちょうど前の席に座っていた人が、序盤も序盤で席を立っていた。その気持ち、わからなくもない。ジュースでも飲みつつの観賞なら、ちったあ気も紛れようぞ。
序盤の目玉、なんだかよくわからないけどデーモンになっちゃう不動明。デーモンと戦おうという強い意志、皆無。
この無気力なままの融合ぶりは、ちょっと想像できる範疇を超えている。こんな演出、思いつかない。
そもそも、強い意志を持って対処できないのも無理はない。別にデーモンは、戦おうと思わなくても問題ないレベルとしか感じないのだ。
デーモンたちが襲うのは、亀戸のショッピングモール、サンストリートばかり。あそこのトイザらスを多用している自分にとっては大問題だが、とってもこじんまりとした戦いだ。なので、成り行きと惰性でデビルマンになることに必要以上の熱を込めてやる必要は、まったくなし。
そんな、強引な解釈で映画を理解しようとつとめているうちに、シレーヌの出番が終了。早いとかそういう問題じゃない。
そして亀戸の治安が悪化した結果、ミサイルが撃ち込まれてきた。スケールが大きいのか小さいのか、もはやわからんまま世界戦争に。
なんかもう、サッパリだ。
ツッコミどころがまんべんなく存在するがために、どこまでが意識的なツッコミ待ちなのかがわからなくなってくる。
用意したであろうツッコミどころ、例えばアニメ版における明の服装をしているシーンなどが、ツッコミどころの中に埋没した上で、常識がもう一周した結果としてツッコミどころになっている。
大マジメに撮影していると見せかけ、キャストたちをバカにして遊んでいたんじゃないかというほどに感じられてしまう。
つまらないとか駄作であるとか以前に、何故だかわからない映画だ。

終了後に座席を見渡してみたら、序盤で席を立ったあの人は戻らずじまいだったのだと気づいた。チケット代をドブに捨てようと、大事な自由時間は捨てない心意気を体現したのか。
上映開始前よりも人数が減っていたのは衝撃的だった。迫り来るデーモンの猛攻に、耐え切れなかったのか。
しかも全員が薄ら笑いを浮かべているようでいながら、困っているようでもある、なんとも不思議な表情をしている。何が起こったんだろう、とでも言いたげな顔ばかり。

これと同じ表情をどこかで見た。
劇中で無意味に神父役として登場し、無意味にアップで、無意味に深刻な顔を披露していた永井豪先生の表情ではないか。