タイガー&ドラゴンと、落語の話

TBSで、一応は新番組扱いである落語研究会の時間が極端で、ちょっと心に残る。
28:05 〜 29:00って。

この放送を復活の形で地上波に持ってくるのは、やっぱりタイガー&ドラゴンのシフトなんだろうか。
その、予告CMを50回くらいは見てしまった覚えのあるタイガー&ドラゴン、なかなかに面白かった。
正直なところ、さして期待していなかったのだ。これで落語関係のムックとかがいっぱい発売されたら、落語を聞く人間としては嬉しいキッカケだな、くらいの感覚だったので。

噺の内容に絡めたシナリオは、ピッタリとはまっていて好感触。
実に分かりがいい。宮藤官九郎、いい仕事だ。
そもそもの噺を知らないような人でも、劇中であれだけおさえてくれればバッチリ問題なかろう。

芝浜という超有名どころを最初に持ってきたのも、ちょっとでも落語がわかる人間からしたら強引と感じるのはやむを得まい。
季節が季節だし、長瀬くん演ずるところの小虎は前座さんだし。
しかし、債権取立て人であり弟子であるという立場の面白さと、単純なわかりやすさという意味だったらいいんじゃないか。
二ツ目が教えてもらわないような話だよ、という描写でちょっとフォローがある辺りがやさしさ。

岡田くん、それなりに上手いね。それなりに。
流石に、学生落語をやっていた身からしちゃうと、露骨に褒めるレベルではないが。
西田さんは、上手そうな雰囲気を出しすぎな分、ちょっと物足りない感じがしてしまう。なんというか、いい画を作りすぎだから、名人のつもりで見てガッカリしてという。
あと、羽織は脱がないのか、なんて細かいことを気にしつつ。
長瀬くんは、上手い下手じゃないな。役者先行で設定された部分が強そうなキャラクターだから、あの感じでまったく持って文句なし。すんごい特だ。

さて、落語をかじっている人間として、ドラマのネタ元として使いやすそうな噺の予想でも。
ある程度は直感的にサゲがわかりやすい必要性があるが、そもそもの特番バージョンからして「三枚起請」なんだから、なんでもありかもしれない。
崇徳院」とか「千早ふる」のような噺は、噺の実演パートで料理できるなら使えそう。
取立人であることからすれば、金銭に絡む噺が使いやすそうだ。「壷算」やら「時そば」のようなお金をちょろまかす要素が入った噺なんてのは面白そう。ただ、翻案というよりもそのままたどりやすそうだから、逆に使いにくいかもしれないけど。
芝浜の夫婦関係を恋愛に持っていくくらいだから、構造だけ借りて廓噺というのもありだな。
宮戸川」とかのような噺のほうが使いやすいか。
最初が芝浜って所からして、「品川心中」辺りはある気がするぞ。

そんな、元・落研部員的な感想。